こんにちは、えーきちです。
今回はマヤ文明の遺跡、パレンケについてまとめていきたいと思います。
超常現象や不思議系のコンテンツにもたびたび出てくるこのパレンケですが、過去の歴史を辿っていくと、魅力がたっぷりです。
パレンケにまつわる伝説から、パレンケ観光での主要建造物の紹介、アクセス方法などをまとめていますので、パレンケに興味がある方は、ぜひ読んでみてください。
目次
パレンケとは?【パレンケの歴史】
パレンケは世界文化遺産に登録されているマヤ古典期後期の代表的な遺跡です。
マヤの歴史的な碑文や歴史を覆すパカル王の墓の発見など、様々な面で謎と不思議が隠されている遺跡です。
現代でも都市全体の10%ほどしか調査が進んでおらず、これから様々な発見の可能性があります。
パレンケの観光で象徴的なのが「神殿」と「宮殿」です。この二つは後ほど紹介していきます。
パレンケの歴史
パレンケの歴史は、7世紀にパカル王とその息子のバールム王の時代に急速に発展し、最盛期を迎えましたがその後9世紀には廃れていきます。
1700年代までは、パレンケの歴史や遺跡、その存在そのものを隠されていましたが、20世紀になってからは周辺を含む発掘調査が進み、いくつかの歴史的発見がなされました。
遺跡には、象形文字でマヤの歴史についての記載が数多くあり、アライアンス、貿易、交流、戦争さらにはマヤ都市間の結婚についてなどの記載があります。
これによって、これまで不明点の多かったマヤ文明の歴史や生活内容が明らかになってきました。
また、1952年にスペイン人考古学者のアルベルトによって、「碑文の神殿」地下よりパレンケの皇帝パカル王の墓が発見されます。
これは当時の通説を覆す発見でした。それまでマヤ地域においては、ピラミッドは「神殿の台座」とする通説がありましたが、王の墓の発見により説が覆されることとなります。
パレンケの石棺
パレンケを語るうえで大事なものの一つがこの「パレンケの石棺」です。
パレンケの石棺とは、パカル王が埋葬されていた石棺のことを表わしており、マヤ文明を知ることに関して非常に重要な手掛かりとなっています。
石棺全体にはパレンケ王家の情報が記載されているため、墓の発見後にはマヤ文明の解析が進みました。また、かの有名な「古代の宇宙飛行士説」を唱えられることとなった石棺の蓋もここにあります。
王家の情報に関して、石棺の縁にパカル王のこれまでの人生についてや王家の先祖の出来事について、反対側にはパカル王の生年月日から死没の日の記載、そしてパカル王の両親の死没日、さらにこれまでの重要人物の死没日の記載があります。
石棺の側面と端には、8つの彫刻が施されています。
その彫刻にはパカル王の先祖が木々に生まれ変わった様子が描かれており、これは先祖が木に生まれ変わりそこから彼らの子孫に栄養を与えていくという意味を持ちます。
8つの彫刻は以下の内容を示しています。
- パカル父の生まれ変わり→ナンスの木
- パカル母の生まれ変わり→カカオの木
- パカル曾祖母の生まれ変わり→サポテとアボカドの木
- パカル兄弟の生まれ変わり→グアバの木
- パカル祖父の生まれ変わり→グアバの木
- 501-524年のパレンケ支配者→グアバの木
- 529-565年のパレンケ支配者→アボカドの木
- 572-583年のパレンケ支配者→サポテの木
石棺の蓋
石棺の蓋は一番象徴的な発見かもしれません。
これが一部で「古代の宇宙飛行士説」が唱えられている石棺の蓋の描画です。
石棺の蓋の上に刻まれており、様々な意味合いで推測されています。
一般的な解釈としては、以下のように縦で読み取ることが多いです。
この描画はパカル王が生まれ変わったことを表わしており、宇宙の中心で永遠の命を纏ったと解釈されています。
彼はトウモロコシ、繁殖力、豊かさをつかさどるマヤ神カワイユになったとされています。
画面下に見える奇形が怪物(モンスター)とされ、その怪物が所有するトウモロコシの種から生まれています。
また、パカル王の背後に見える「世界樹」はパカル王と共に現れてきており、その木が彼を天界へと導いている様子を表現しています。それを両側の蛇の頭および鳥の形をした神イツァムナーが待ち受けている様子です。
もう一つの「古代の宇宙飛行士説」としての解釈としては、この蓋を横から見た際に、宇宙飛行士がロケットに乗っているように見えるというものです。
これは、1970年代に作家エーリッヒ・フォン・デニケンが自著内で展開した説でそこから全世界中に広まった説ですが、信憑性が薄いため主に都市伝説の一つとして扱われています。
パレンケの仮面
パレンケ遺跡を見るうえで、一番有名な遺物はこの「パレンケの仮面」ではないでしょうか。
正確にはパレンケの翡翠の仮面であり、この章の初めに出てくる写真がそれです。パレンケの仮面はパカル王の死後、埋葬されるパカル王に付けられた翡翠で出来たマスクのことです。
パカルの顔の上に漆喰を塗り、その上から翡翠の断片を顔に沿って付けられました。340もの翡翠のかけらが使われていたようです。
パカル王が統治していた当時、翡翠は非常に高価であり王のみ所持することが許されていたものです。
パカル王の死後、遺骨に翡翠の仮面を施したのには、死後の世界で王を守るためとの意味合いがあるようです。
この仮面は国立人類学博物館にて見ることができます。
過去に一度盗難に遭っていますが(1984年クリスマスイブに盗難されたが、4年半後に発見)現在では元の国立人類学博物館に戻っています。
国立人類学博物館については以下に記事があります。
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国立人類学博物館のまとめ
パレンケの宮殿と神殿
パレンケの宮殿
宮殿はパレンケ遺跡の中心に位置しており、貴族の住居であるとともに、市の行政の中心であったと推定されています。
宮殿内部には12の部屋もしくは家、東西に分かれている2つの裁判所と宮殿の最大の特徴でもある4階建ての塔があります。また、宮殿地下にはスチームバスとトイレが6つあります。
宮殿内で最も重要な建物は「Casa E」という部屋であり、ここは王座もしくは戴冠式の部屋として利用されていました。
マヤ建築の王室部屋には珍しく、白で塗装されています。
宮殿自体1つの建物ではなく、400年から900年の間に増築を繰り返して完成された複合施設となっています。
500年以上の年月を経てできたため、4つの中庭と建物が地下通路や階段で繋がっている複雑な造りになっています。
中庭として使われていた中央オープンスペース周りには客室が完備されています。この場所は公的行事に使用されていた他、来賓や貴族の宿泊施設としても利用されていました。
その他、宮殿後ろ側には小さな川があり、ここから「宮殿水道」と呼ばれるアーチ型の水道へ水が送られていました。ここでは、およそ225,000リットル以上の新鮮な水を保持していたと考えられています。そのため、ここからパレンケと宮殿北部の作物へ新鮮な水の供給がされていたと推定されています。
碑文の神殿
パレンケ遺跡の中で一番有名な神殿です。パレンケのメイン広場の南側に位置しています。
名前の由来は、神殿内壁でマヤエリアの中で最も長く知られる617字形の象形文字を用いたグラフ(壁画)が見られたことから、碑文の神殿と名付けられました。
建造開始は675年にパカル王により建築が着工されましたが、完成したのは彼の死後で692年に彼の息子によって完成しました。
碑文の神殿は8層のピラミッドから成り立っており、その高さは21mにもおよびます。
さらに、最上部には5つの出入り口があり、各入口の柱にはパレンケの神々の漆喰のレリーフが刻まれています。
最も重要なことは、ここからパカル王の墓が発見されたことです。1952年にメキシコ人考古学者によって、ピラミッド地下に9m×4m程度の小さい部屋に石棺があるのを発見されました。これがパカル王の墓の発見です。
現在は発掘調査のため一般の内部への立ち入りはできません。
太陽の神殿
太陽の神殿はパカルの息子チャン・バールム王によって、7世紀後半に建てられました
神殿内部の「戦争と死の犠牲のイメージレリーフ」が有名です。そこには太陽神の盾、両脇にはパカル王とその後継者チャン・バールム王が向き合っている様子が描かれています。
パカル王が風変りな剣と盾を持っており、他族との戦争のシンボルとして描かれたようですが、その作成意図に関して詳しいことはまだ分かっていません。
また、太陽の神殿上部の屋根飾りはパレンケ内で一番良い保存状態で残っていました。
十字架の神殿
門の入り口に刻まれたレリーフの中央に十字架が見えることからその名が名づけられました。
十字架の神殿は太陽の神殿、葉の十字架の神殿とともにチャン・バールム王によって建造されています。
レリーフの十字架は世界樹の変形を表わしており、その上に立つ鳥は宇宙の中心軸を意味します。この軸に沿って、死者の魂と神は他世界から人間と交信をするために現れます。
王自身もこの軸の表れであり、この描画が強調していることは、王の魔法的な力によってこれが行われているということです。
また、王は他世界との交信を行うだけでなく、彼自身がその軸と通路になっていることも表現しています。
葉の十字架の神殿
神殿前にアーチの入り口と上部の左右にトウモロコシの葉と人間の首を表現した窓があります。
内部のレリーフはトウモロコシに関してを表現しており、水面から上昇してくるトウモロコシの草木と、水回りの象徴であるスイレンの怪物によって変形した世界樹の様子が描かれています。
この樹に付いている木の枝は人間の頭として現れたトウモロコシの穂です。これはマヤの、人間の肉体はトウモロコシの生地によって作られていくという思想に基づいています。
この葉の十字架は、生命の源である地球の水から上昇しているトウモロコシの草木の象徴を通して、コミュニティにおける耕作世界を表わしています。
トウモロコシは人間の肉体の一部なだけではなく、農家の一般的な栽培種でした。
人間の介在なしに種を植え付けて育つことができない植物として、人間にとって体を作る重要な栄養源として、トウモロコシは自然とのつながりにおけるマヤの究極の象徴でした。
頭蓋骨の神殿
遺跡に入ってから最初に見える神殿がこの頭蓋骨の神殿です。
神殿外側の左下に小さく見える頭蓋骨のレリーフがこの神殿の名前となった所以です。これはウサギの頭蓋骨のレリーフと言われています。
かつてはこの神殿内においても他のレリーフがあったようですが、現在では唯一残っているのがこの頭蓋骨のレリーフです。
営業時間・料金
パレンケの営業時間・料金は以下の通りです。
【営業時間】
8:00~16:30
【料金】
遺跡入場料:65ペソ(日本円:約320円)
公園入場料:30ペソ(日本円:約150円)
※突然の変更がある場合がございますので、都度各自でご確認ください。
パレンケの行き方
パレンケへの行き方は主にバスor飛行機で向かいます。
小さい街なので、各ターミナルよりすぐ遺跡に向かうことができます。
近隣の街からバス・飛行機のどちらも出ていますので、街ごとに所要時間と利用料金を紹介していきます。
各都市からの行き方・所要時間・料金
オアハカ→パレンケ
【飛行機利用】
片道7,800円前後
所要時間:メキシコシティ乗り継ぎで約14時間
※運航日に限りがあるため、運航していない日もあります。
【バス利用】
片道540ペソ前後(日本円:約2,700円)
所要時間:約15時間
※ADO社のバス利用 1日1本
サンクリストバル→パレンケ
【飛行機利用】
なし。
※空港はトゥストラ(チアパス州の州都)にあります。
サンクリストバルからバスで1時間ほど
【バス利用】
片道150~380ペソ前後(日本円:約750~1,900円)
所要時間:約9時間前後
※ADO社のバス利用 1日複数本運行
トゥストラ→パレンケ
【飛行機利用】
片道6,000円前後
所要時間:直通約40分
※運航日に限りがあるため、運航していない日もあります。
【バス利用】
片道120~400ペソ前後(日本円:約600~2,000円)
所要時間:約8時間前後
※ADO社のバス利用 1日複数本運行
カンペチェ→パレンケ
【飛行機利用】
片道13,000円前後
所要時間:メキシコシティ乗り継ぎで約12時間半
※時間・料金の面からオススメできません。
【バス利用】
片道200~500ペソ前後(日本円:約1,000~2,500円)
所要時間:約6時間前後
※ADO社のバス利用 1日4~5本運行
パレンケへツアーで行く場合
パレンケへツアーを利用して行く場合は、旅行代理店かオプショナルツアーを利用する形になります。
旅行代理店のツアー利用の場合は、パレンケ以外の都市への就航も含む「遺跡ツアー」の形が多く、旅行のメインが遺跡巡りとなります。
毎日各地へ移動し、遺跡見学をし…という忙しいツアーとなります。
遺跡好きの方にはたまらないかと思いますが、ガイド付きツアーのため自由度は低くあまりオススメはできません。
それでも旅行代理店のツアー利用が希望の方は、以下旅行代理店のツアーがオススメです。
こちらはパレンケだけでなく、大手代理店ではあまり行くことがないメリダやカンペチェを含む多都市に訪問するツアーです。
パレンケツアーの内容を自分で決める場合
旅行代理店のツアー以外に、自分でカスタマイズしたパレンケプランを作ることもできます。
それには以下のサイトを利用します。
こちらは提携している旅行会社50社以上から、一括で旅行プランや料金の見積もりを出してもらうことができるサイトです。
提携している会社も大手旅行会社ではなく、特定地域に特化した旅行会社が多いため、大手に比べてもかなりディープなプラン提案が可能です。
もちろんこちらの要望をふまえ、かつ専門アドバイザーからオススメの場所なども教えてもらえるので、パレンケだけを巡る旅行プランの作成も可能でしょう。
オーダーメイド旅行と言う形になるので料金は少々高くなる傾向がありますが、自分の好みだけを巡る旅にできるので、非常に有意義なプラン作りができると言えます。
提携50社以上の中から、要望を実現できる旅行会社から一括でプラン提案をもらえるので、まずは利用してみてください。
もちろんプラン提案依頼は一切無料ですので、気軽に利用できます。プランが出揃った後に、クラブツーリズムのツアーと比較するのも良いでしょう。
オプショナルツアーでパレンケ
オプショナルツアーを利用してパレンケへ行く場合は「Viator(ビアター)」のオプショナルツアー利用がオススメです。
ビアターとは、海外発のオプショナルツアー専門の予約サイトです。
そもそも、パレンケに行くオプショナルツアー自体が少ないのですが、ビアターではパレンケ関連だけでも複数種類のツアーを揃えています。
パレンケ遺跡だけに行くツアーや、周辺観光地にも行くツアーなどが豊富です。
どのツアープランでも基本的には、パレンケまでは各自で行く必要があるので、料金は遺跡までの移動費とガイド代と考えれば良いでしょう。
ビアターの各プラン詳細は以下よりご確認ください。
ちなみに日本の旅行代理店では、HISが唯一?パレンケツアーを出していますが、料金が非常に高く(ビアターの約10倍ほど)ガイドも英語ガイド(ビアターも英語)なので、オススメできません。
また、「日本語ガイドじゃないと厳しい」という場合はオプショナルツアーで日本語ガイドの物が恐らくないので、旅行代理店のツアーを利用して行くのが良いでしょう。
まとめ
以上になります。
パレンケはまだまだ解明されていない点の多い魅力的な遺跡です。
都市伝説の題材で使われることや、ジャングルの中で突然現れる不思議な感覚はメキシコで遺跡を見つくして飽きた、という方でも楽しめる遺跡かと思います。
他都市からパレンケの街までのアクセスが少々悪いですが(山賊ルートを通る可能性あり)一見の価値がある遺跡ですので、ぜひ訪れてみてください。
それでは、また。